悪ノ人生‐ミチ− 第六話 She Lost a Valuable Time.
リンアン:ri
灯世
レオン:re
加々美由亜
ガクト:ga 吉沢在玉
ルナ:ru りった
アシュレイ:as
白黒
メイリー:me おもめ
ゼロ : ze うたつき
城のメイド:wo
椎名円子
me01 : 姉さん!
ru01 : メイリー、久しぶりね。
me02 : ええ、元気だった?
ru02 : もちろん。メイリーは…相変わらず元気そうね。
me03 : 普通元気だった?って心配しない?
ru03 : だって、貴女が元気じゃなかったことがないんだもの。
me04 : ひどい、まるで私が風邪も引かない馬鹿みたいな言い方。
ru04 : ふふ、拗ねない、拗ねない。
me05 : もう、姉さんはどんどん意地悪になってくわね…誰の影響よ?
ru05 : んー、ガクトさんかしら?
me06 : ガクト?誰?あ、姉さん…もしかして…恋人?
ru06 : 違うわよ!
me07 : あ、なんか怪しい!ちょっと、紹介してよ、カッコイイの?
ru07 : だから、違うってば!ガクトさんは…その、ほら、なんていうか…
me08 : 姉さん…顔、真っ赤。
ru08 : メイリー!これは、あの、そう、きっと、
me09 : 夕日のせいなんてベタな言い訳やめてね、今、夜だから。
ru09 : ……メイリーこそ、意地悪になってるじゃない。誰の影響?
me10 : …アッシュのせいだわ…
ru10 : アッシュ?メイリーこそ、恋人いるんじゃない。
me11 : 違う、違う、アッシュは手のかかる息子みたいな感じ。
ru11 : あら、メイリーったら若いのに苦労してるのね。
me12 : やめて、なんかその言い方、老けた感じするから…
ru12 : ふふ、あ、そうだ、これ。
me13 : 何?
ru13 : お菓子、焼いたの。良かったら皆で食べて。
me14 :
あ、ありがとう。
…まさか皆も思ってないでしょうね、たまに食べる焼き菓子が本当は敵のお情けだなんて。
ru14 : お情けなんて…私はただ、可愛い妹に喜んで欲しいだけよ。
me15 : 分かってるわ。
ru15 : それより、大丈夫なの?貴女、軍団長なんでしょう?私みたいな城の人間と会うなんて許されないんじゃ…
me16 : 理解者がいるのよ。副軍団長がね…
ru16 : そう…
me17 : 姉さん…いつまで城にいる気?
ru17 : …メイリー、私は王女に仕えているの。離れることは出来ないわ。
me18 : どうして、あんな王女に!!
ru18 :
王女が悪いんじゃないわ…王女は少し幼いだけ…だから、私達が支えなきゃいけないの。
王女はこれからたくさんのことを知って、たくさんのことを経験して、素晴らしい方になるわ。
me19 : 姉さん…
ru19 : メイリーの言いたいことも分かるわよ。国の現状だってちゃんと分かってるわ。
me20 : だったら、
ru20 : メイリー!
me21 : …っ!頼むから…お願いだから、…私に家族を殺させないでよ…
ru21 : メイリー…ごめんなさい、メイリー。
me22 : …戻るわ。お菓子、ありがとう。
ru22 : ええ…また、ね?
me23 : …ええ。
SE01 足音
OPENING
ga01 : 悪ノ人生第六話、
ru23 : She Lost a Valuable Time.
re01 : 休暇、ですか?
ga02 : ああ、ほら、サリ―の件も一応一段落したからな。ルナの気分転換も必要だと思うんだ。
re02 : そうですね…葬儀のこともルナさんが一切を仕切ってくれてましたし。
ga03 : あと…二人でサリ―の墓にいってこようかと思って…
re03 : …分かりました。王女も今は落ち着いてますし、数日程度でしたら、大丈夫ですよ。
ga04 : すまないな。
re04 : いえ。ガクトさん…ルナさんをお願いします。
あの人、しっかりしてますけど、
ga05 : 天然で強がりだからな。ふ、任せろ。
好いている女一人守れず王女を守れるわけがないだろう?
re05 : …あ、やっぱりルナさんのこと好きなんだ。
ga06 : なんだ、今更だろう?
re06 : あぁ、そういうガクトさんのハッキリしたとこ、俺、好きですよ。
ga07 : 付き合うか?
re07 : 全力で遠慮させてください。
ga08 : はははは、恥ずかしがるな、恥ずかしがるな。
re08 : いや、ホントに、もう、なんていうか、本気と書いてマジと読む勢いで遠慮っつか拒否します。
ga09 : …レオン、俺が何を言っても傷付かないと思ってるだろう…
re09 : え、傷付いたんですか?まさかそんな繊細な心持ってるなんて思ってもみなくて、すみません。
ga10 : あぁ、今の、決定打。致命傷。
ru24 : あらあら、レオン、ガクトさん、何を楽しそうに話してるのかしら?
re10 : あ、ルナさん。
ga11 : ルナ!
re11 : …ガクトさんって単純…
ga12 : こんな夜遅くまでどこに行っていたんだ?心配したんだぞ。
ru25 : あ、すみません、少し人と会う約束を…
ga13 : …男か!!
re12 : でかい男の嫉妬はうっとうしいだけですよ。
ga14 : レオン、今日はすこぶる機嫌が悪いのか?
re13 : いえ、ただ、なんか、ガクトさんがいつにもまして面倒くさいな、と…
ru26 : ふふ、あら、レオン、これくらいいつものことなんですからもう無視するのが一番ですわよ?
ga15 : ルナ…俺は、泣きたい。
ru27 : あら、泣くのでしたら、ご自分のお部屋でお静かにお願いしますね。
re14 : ルナさんってサラっと笑顔で物凄いこと言いますよね…
SE02 扉の音
as01 : ふんふんふーん♪ん?あ、なんか良い匂い…!!
お菓子はっけーん。これ、ボクのですかね?ボクのですよね?っていうかボクの。
me24 : 違うわよ。
as02 : ん?あ、軍団長、ただいま戻りましたー。
me25 : なんかご機嫌ね、アッシュ。
as03 : ええ、外で友達に会ったんで。
me26 : 友達?何、動物か何か?
as04 : んー…まぁ、そんな感じですかね?
me27 : あぁ、そう。
as05 : 軍団長は機嫌悪そーですね。
me28 : そりゃ、私のお菓子食べられたら機嫌も悪くなるわよ。
as06 : え、これ、軍団長のですか?
me29 : そうよ。知人からもらった手作りの美味しい焼き菓子よ。
as07 : へー………いただきます。
me30 : ちょっと、人の話聞いてた!?
as08 :
聞いてましたよー、あ、これ、美味しいです。
軍団長のものはボクのもの。ボクのものもボクのもの。
me31 : 何それ…
as09 :
あ、でも安心してくださいね。
この理論、食べ物に関してのみなんで。
me32 : 安心できないわよ…はぁ…
as10 : あ、溜息。軍団長の幸せが逃げちゃいましたね。
me33 : 私のお菓子がどんどんアンタの腹の中に逃げていくのは見えるけど…
as11 : で、なんで機嫌悪いんですか?
me34 : ちょっと、だから人の話聞いてた?
as12 : 何か悪い夢でも見たんですか?
me35 : …まぁ、夢見は悪かったわよ。
ze01 : うなされてたからな。
as13 : ゼロさん!
ze02 : アッシュ、お前、昨日、どこに行ってたんだ?探したんだぞ。
as14 : あ、すみません、ちょっと妖精さんにお呼ばれしちゃいまして。
ze03 :
お前の頭はもうすぐ三途の川を渡りそうだな…
それよりメイリー、大丈夫か?
me36 : 何が?お菓子ならとっくに全部アッシュの…
ze04 :
いや、さっきうたた寝してる時にうなされていたから。
お前がうなされる時はたいてい悪いことが起きる。
me37 :
…そうね…そうならないことを祈るけど…
何か、嫌なことが起きそうな…
ze05 : お前の勘はアッシュとは別の意味で当たるからな。
as15 : 軍団長の勘は嫌なことがあるときだけ当たりますからね。
me38 : …外れて欲しいわね…
SE03 海の音
ru28 : 気持ち良いですわね。
ga16 : ああ。
ru29 : 海、綺麗…
ga17 : ルナ、君の方がきれ、
ru30 : あら、この貝殻可愛い。サリ―に持って行こうかしら。
ga18 : …そういうところがまた魅力的だがな。
ru31 : それにしても、大丈夫だったのかしら、王女を残して来てしまって…
ga19 :
あぁ、それなら大丈夫だろう。王女にはレオンがいる。
それにたった三日じゃないか。
ru32 : そうね…でも、心配だわ…
ga20 : …その貝殻、王女の分も拾って持って帰ろうか。
ru33 : そうね!それじゃあ、レオンの分も持って帰ろうかしら。
ga21 : レオンのもか?
ru34 : だって可愛いんだもの。
ga22 : まぁ、確かに貝殻は可愛いが…レオンは可愛いか?
ru35 :
あら、可愛いじゃない。何もないところで躓いて恥ずかしくなって誰もいないか確認したり、
王女にへたれって言われた後は廊下の鏡の前でカッコよく決めたつもりになってポーズしてたり…
ga23 : …そうなのか?
ru36 :
あと、好きなお菓子をサリ―に先に食べられたら、これでもかってくらい怒るし、
王女に褒められたら冷静なふりして、顔、いつもふにゃってなってるし…子供っぽくて可愛いわ。
ga24 : くくっ、確かにレオン、しっかりしてるようでまだまだ子供だからな。
ru37 : 王女もそうよ。まだまだ子供なんだから。
ga25 : 王女もレオンもサリ―も似た者キョウダイだったからな。
ru38 : 皆、強がりで意地っ張りなのに可愛いのよね。
ga26 : だから放っておけないんだろう?
ru39 :
ええ、だから、心配なのよ…
皆、可愛いから…好きだから…だから、心配。
ga27 : 姉のようで、親のようだな…
ru40 : そのつもりでお城にいるもの。
ガクトさんも、でしょう?
ga28 :
あぁ。異国の名前と格好の俺を受け入れてくれた王女に俺は恩返しをしなければいけない。
初めて会った王女は今よりももっと幼くて、俺をあっさりと受け入れてくれた。
だから俺も、彼女がどんな人であろうと、どんなことを言おうと全て受け止めると決めたんだ。
聖母のようにな…
ru41 : ガクトさん……聖母は女です。
ga29 : 良いんだ。良いこと言ったんだ。良い話に性別は関係ない!!
ru42 : ……サリ―のお墓に行きましょうか。
ga30 : あぁ、そうだな!
SE04 部屋の中を荒らす音
re15 : 王女!落ち着いてください!!
ri01 : ルナ、ルナ、ルナ、ルナ!!ルナはどこ!!
re16 : だから、ルナさんは今、休暇を取って海に…
ri02 : どうして?ルナは私を捨てたの?私から離れたの?いなくなったの?
ねぇ、レオン!!
re17 : ちょ、だから、落ち着いてください!
ルナさんは明後日には帰ってきますから!
ri03 : 帰ってくる…?本当に…?
re18 : 本当です。
ri04 : 嘘よ…
re19 :
本当です。ルナさんは明後日には帰ってきますから。
王女にお土産を持って帰ってくるって仰ってました。
ri05 :
嘘よ嘘よ嘘よ、だってサリ―は帰ってこないじゃない。
サリーはどこにもいないじゃない。
サリ―は、サリーは…っ!!
re20 : 王女っ!!
ri06 :
きっとルナもサリーみたいに帰ってこないんだわ。
ルナも私を置いて行っちゃったのよ。
私から離れて…私を一人にする気よ…
re21 : 大丈夫です、ちゃんとルナさんはガクトさんと明後日には帰ってきますから。
ri07 : ガクト…も…?
ガクトもいないの…?ガクトも行っちゃったの?
re22 : 王女…?
ri08 : そう…二人とも…いないのね…
re23 : 明後日には帰ってきますよ。
ri09 : 二人とも…いないのね…
re24 : 王女…
SE05 扉をノックする音
re25 : はい。
wo01 : レオンさん、ちょっと…
re26 : どうかしましたか?
wo02 : 大臣がお呼びです。
re27 : 分かりました。すぐに行くと伝えてください。
wo03 : 分かりました。
re28 : 王女、少し仕事の話をしなくてはいけないので行ってきます。
ri10 : …分かったわ。
re29 : …大丈夫、ちゃんとすぐに帰ってくるから。
SE06 扉の開閉音
SE07 足音
ri11 :
誰もいない…皆、私を置いて行っちゃう…
サリ―もルナもガクトも…
私から離れて、私を置いて行っちゃう…どうして…どうして…
皆、いなくなっちゃう…
いなくなっちゃう?酷いわ…そんなの、嫌、ダメよ。裏切るなんて許さない。
私の側から離れるなんて…そんなのダメ…
いなくなっちゃうなら…いなくなる前に……消しちゃえば良いんだ。
そうよ、そうしたら、離れたことにはならない。私が離したことになる…
そうよ、そうよ、そうよ、……消しちゃえば良いんだ…
SE08 風の音
SE09 足音
ru43 : サリ―…
ga31 : 花に囲まれてるな…
ru44 : サリー、お菓子とお花がすきだったから…
ga32 : よく散歩に行っていたもんな。
ru45 : 天気が良いと外のお庭でおやつパーティーして、おしゃべりして…
ga33 : なぁ、ルナ。
ru46 : はい?
ga34 : 王女は俺達二人にとって大事な存在だ。
レオンも大事だ。
ru47 : ふふ、今更、どうしたんです?
ga35 : 聞いてくれ。
俺は、王女もレオンもサリ―も大事だ。黄金国【ゴールデンランド】の民も大事だ。
皆、大事だ。だから、衛兵として体を張って守って行く。
でも、それ以上に俺にとっては、ルナ、君が何より大切な存在なんだ。
王女やレオンとは違う意味で大切な存在なんだ…
ru48 : ガクトさん…
ga36 : だから、その…なんというか…
ru49 : くすくす、肝心なところでへたれてしまうのはレオンそっくり。
ga37 : 俺と一緒になろう!
ru50 : 幸せにしてくれますか?
ga38 : もちろん!誰よりも幸せにしてやる!
ru51 : 家庭に入らず、働く女でも良いですか?
ga39 : むしろ、城で働いて俺の近くにいてくれた方が俺は安心する。
ru52 : 五月蠅い父親を説得できますか?
ga40 : …努力する。
ru53 : 妹と…私の大切な妹も…大切にしてくれますか?
ga41 : 当たり前だ。
ru54 : 料理しか出来ない女ですが、
ga42 :
ええい、もう!全てひっくるめて受け止めるし全てを大切にする!!
だからルナは何も心配せずその身ひとつで俺のとこに来い!
ru55 : …はい!
ga43 : ってことだ、サリ―。見守っててくれないか?
ru56 : サリ―、私達、サリ―の分まで王女を守るわ。
ga44 : 俺はサリ―の分までルナを守るぞ。
ru57 : ふふ、ありがとうございます。
SE10 足音
ga45 :
ん?…黄金国【ゴールデンランド】の城の衛兵…?
お前達、どうしたんだ?
ru58 : 何かお城であったんですか?
ga46 : ……何か、…あったのか…?
SE11 刀を抜く音
SE12 扉を開ける音
re30 : 王女!!どういうことですか!!処刑命令だなんて!
ri12 : ……レオン、喉が渇いたわ。紅茶を淹れて。
re31 :
王女、ふざけないでください!
ルナさんとガクトさんを処刑だなんて何を考えて、!
ri13 :
だってあの二人、私の側を無断で離れたのよ?
王女を守るべき者が裏切ったの。
裏切りには制裁を与えなきゃいけないでしょう?
re32 :
あの二人は休暇に出ていると言ったはずです。
それに、二人ともすぐに帰ってきます!
ri14 :
嘘よ…あの二人もいなくなるのよ…
だったら、いなくなる前に消しちゃえば良いの…
re33 : そんな…
すぐに処刑命令を取り消してきます!
ri15 : レオン!
レオンは…ずっと私の側にいるわよね?
ずっとずっと、私の側から離れないよね…?
re34 : 王女…
ri16 : もう、嫌なの…嫌なの…一人は嫌…
誰かが目の前からいなくなるのも嫌…
もう、何も見たくない…
re35 : リンアン…
ri17 : レオン、ダメよ、私の側から離れたら…ダメ…
re36 :
リンアン、大丈夫。
大丈夫だから…俺はずっとリンの側にいる。
俺は召使なんだから…リンの側にいないと。
そうだろう?
ri18 : レオン…
re37 :
ずっと側にいて、君を守るから。
何があろうと、ここにいるから。だから、安心して。
ri19 : レオン…レオン…う、ぁ、うわぁああっ(泣きだす)
SE13 椅子が倒れる音
me39 :
なっ、んですって…
本当に…それは、確かな情報なの…?
ze06 : あぁ。さっき諜報部から入った情報だから確かだ。
me40 : そ、んな…
ze07 : …大丈夫か?
me41 : どうして…理由は?
ze08 : 分からない。反逆罪、としか…
me42 : そんな、嘘よ…姉さんがあの王女に逆らって殺されるなんて、そんなの嘘よ!!
ze09 : メイリー…
me43 :
だって、姉さん、この前会った時に…
あんなに王女を慕ってた姉さんが裏切るわけないわ…何か、何か王女が…
ze10 : もう一人、ガクト=ダテと言う名の衛兵も処刑命令が下ってる。
me44 : ガクト…?
ze11 : 知ってるのか?
me45 :
姉さんが言ってた名前だわ…
処刑は、いつ…?
ze12 : 見つけ次第。
me46 : そんな…それじゃあ…
ze13 : もう、城の衛兵が方々に散っているらしい。
SE14 上着を着る
ze14 : メイリー?
me47 :
助けに行くわ。
城の人間だったけれど、姉さんは姉さんなの。私の姉さんなのよ…!!
ze15 : しかし、もう、
me48 : 分からないわ!
ze16 : 宛てはあるのか?
me49 : ないけど、動かないよりましよ!!
ze17 :
…分かった…軍のことは任せろ。ただ、落ち着け。
お前が取り乱してどうする。見つけられるものも見つけられなくなるぞ。
me50 : …そ、うね…ありがとう、ゼロ…
ze18 : 良いから、行って来い。
SE15 扉の開閉音
SE16 走る足音
me51 :
嫌よ、姉さん!待って!先にいくなんて嫌!
あんな喧嘩別れみたいなこと…ちゃんと、ちゃんと話したいのに…!
お菓子も、美味しかったって伝えたいの!
アッシュが美味しすぎてほとんど食べちゃったって、そんな話をしたいのに…!!
姉さん…ルナ姉ちゃん!!
ri20 : サリ―が帰ってこないことなんて分かってる…
ルナとガクトも帰ってこない…
私は一人?
一人は嫌。
大切な人が皆、皆、私から離れてく…
レオン、あなたまでいなくならないで。
私は一人になりたくない…
me52 :
母親は幼い頃に病気で亡くなって、母親代わりに私を育ててくれた姉さんは、
働くために城に行って、父さんと私だけの生活が何年か続いて…
父さんは、離れた土地で暮らしてる。
姉さんと私だけが生まれ育った黄金国【ゴールデンランド】にいて…
私にとって家族は二人。
父さんと姉さん。
姉さん、……私は、一人は嫌よ。一人で勝手にいかないで!!一人にしないで!!
re38 : 廻る、廻る、急速に廻り出した歯車。
誰が止められる?
誰も止められない。
きっと、これが、運命ってやつなんだろう…
肩を震わせて泣きじゃくるリンアンの涙を見て、俺は、なんとなく、
ただ、なんとなく、時間が戻れば良いのに…そんなことを思った。
re39 :
ルナさんとガクトさんは、棺に入って俺達の元に帰って来た。
ルナさんのその手には、小さな貝殻がいくつか入った小さな小瓶が握られていた。
ENDING